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アフリカ地域経済共同体はどのような役割を果たすのか?

1963年、アフリカ大陸にある53の国々によって誕生した世界最大の地域経済統合を目指したアフリカ統一機構(OAU)が創立されました。

しかし、原則として内政不干渉のため、他国での内戦などに対して解決策を打ち出すことができず、統一機構としての機能を十分に発揮することも地域経済を統合することも出来ませんでした。

そこで、アフリカ各国は、1991年のアブジャ条約の締結により2028年までに欧州連合(EU)のような政治・経済の統合を目標として、アフリカ大陸に統一通貨「アフロ」の導入とアフリカ経済共同体(AEC)の創設を目指すために、より強い権限を持たせたアフリカ54か国・地域のアフリカ連合(AU)を発足させました。

アフリカ連合(AU)は、アフリカ諸国のより高度な政治的、経済的、社会的、文化的統合の実現と紛争の抑止・解決に向けた安全保障への取り組み、民主的原則、持続可能な開発の促進を目指しています。

将来的には、地域統一した国家・アフリカ合衆国を創る事を目標にしています。

8つのアフリカ地域経済共同体の相関図

8つのアフリカ地域経済共同体の相関図

アフリカ諸国は、1991年に締結されたアブジャ条約で、アフリカ経済共同体(AEC)を創設するために必要なアフリカ大陸の高度な経済統合の意義と課題を明確にすることを目的にした8つの地域ごとの経済共同体(RECs)を設立することが定められました。

昔からの植民地支配の影響により国境を決められてしまったことで、地理的に経済や人口の規模が小さな国の集まりとなっていたため、地域間での統合や協力が長い間の課題でした。

この8つの地域経済共同体(RECs)は、2017年までにそれぞれの地域経済共同体の関税・貿易制限の撤廃、2019年までにアフリカ大陸全土の関税・貿易制限の撤廃、2023年までに共同市場により人・物・サービス・資本の移動の自由を掲げています。

また、アフリカ連合を創設する時に、さまざまな経済の統合をスムーズに行う為のアフリカ中央銀行、アフリカ投資銀行、アフリカ通貨基金を設立することで、将来的に2028年までにアフリカ大陸に統一通貨「アフロ」の導入とアフリカ経済共同体(AEC)の創設を早める提案もされています。

アラブ・マグレブ連合(UMA)

歴史や文化を共有していたことから1989年に創設された地域経済共同体。北アフリカの通称「マグレブ」と呼ばれるアルジェリア、リベリア、モーリタニア、モロッコ、チュニジアの5か国が加盟している。本部はモロッコのラバトにあり、5か国が加盟。

東南部アフリカ市場共同体(COMESA)

アフリカ広域自由貿易協定の中の1つで、1981年から存在していた特恵貿易地域の替わりとして1994年に創設された自由貿易協定。ブルンジ、ジプチ、エリトリア、エチオピア、エジプト、リビア、スーダン、コモロ、マダガスカル、モーリシャス、セーシェル、ケニア、マラウィ、ルワンダ、ウガンダ、スワジランド、ザンビア,ジンバブエ、コンゴ民主共和国。本部はザンビアのルサカにあり、19か国が加盟。

サヘル・サハラ諸国国家共同体(CEN-SAD)

1998年に創設されたアフリカ中部・北部を中心として29か国が加盟しているアフリカ諸国最大の準地域機関。ベナン、ブルキナファソ、中央アフリカ、コモロ、コートジボワール、ジプチ、エジプト、エリトリア、ガンビア、ギニア、ギニアビサウ、ガーナ、リビア、リベリア、マリ、モロッコ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、チャド、トーゴ、チュニジア、ケニア、モーリタニア、サントメ・プリンシぺ、カボ・ヴェルデ共和国。本部はリビアのトリポリ。域内の経済統合を目指しているが進展がない。

東アフリカ共同体(CAE)

1970年代に創設されたが、1977年~1978年頃にケニア、タンザニア、ウガンダによる主導権争いなどで完全に消滅した。その後2001年に再結成られる。ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、2016年3月に南スーダンが加盟。本部はタンザニアのアルシャにあり、加盟国は6か国。

中部アフリカ諸国経済共同体(CEEAC)

1983年に創設されるが、経済共同体としてはほとんど活動していない。別の組織で、1996年に設立された中部アフリカ経済通貨共同体の方が活動的。アンゴラ、ブルンジ、ガボン、カメルーン、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、サントメ・プリンシペ、赤道ギニア、チャド、中央アフリカ、ルワンダ。本部はガボンのリーブルビルにあり、加盟国は11か国。

政府間開発機構(IGAD)

旱魃、飢餓、紛争、内線などの問題が多い東アフリカの角地域を中心に1996年に設立され、食糧安全保障、農業、経済、政策、紛争抑止など様々な事項を扱う。ケニア、スーダン、南スーダン、ウガンダ、エチオピア、エリトリア、ジプチ、ソマリア。本部はジプチにあり、加盟国は8か国。

南部アフリカ開発共同体(SADC)

1980年に南アフリカの経済支配からの脱却などを目指す南部アフリカ開発調整会議として設立。その後1992年に南部アフリカ開発共同体と改称、さらに1994年には南アフリカも加わり、経済、市場、紛争抑止などの活動を行っている。アンゴラ、コンゴ民主共和国、タンザニア、ザンビア、ボツワナ、モザンビーク、ジンバブエ、レソト、スワジランド、マラウィ、ナミビア、南アフリカ、モーリシャス、マダガスカル(資格停止中)、セイシェル。本部はボツワナのハボロネにあり、加盟国は15か国。

西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)

1975年に西アフリカの経済、政治、社会、文化など開発努力の統合のために設立。持続的経済、政治的安定、紛争抑止などの活動を促進。ベナン、ブルキナファソ、カーボ・ヴェルデ、コートジボワール、ガンビア、ガーナ、ギニア、ギニアビサウ、リベリア、マリ、ニジェール、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ、トーゴ。本部はナイジェリアのアブジャにあり、加盟国は15か国。

国境を越えてともに豊かなアフリカを

国境を越えてともに豊かなアフリカを
アフリカ経済共同体(AEC)は、既存の8つの地域経済共同体(RECs)の強化を基本として、条約発効の1994年から2028年の計34年間でアフリカ諸国54か国・地域のより高度な政治的、経済的、社会的、文化的統合の実現と紛争の抑止・解決に向けた安全保障への取り組み、民主的原則、持続可能な開発の促進を実現します。

2000年以降の高い経済成長率であったにもかかわらず、世界経済に占めるアフリカ諸国の割合はたったの3.2%しかなく、インフラの未整備や金融市場の脆弱性、10%にも満たないアフリカ諸国内の地域貿易など、様々な経済停滞の原因の解決策として独立以前から期待されていたアフリカ大陸の将来のビジョンです。

アフリカ諸国の統合構想は、国際経済学者のベラ・バラッサが1961年に発表した経済統合の理論を元にしていると言われています。

それをアフリカ経済共同体(AEC)の実際の計34年間での統合期間を各段階ごとにまとめてみました。

第一段階:

1991年〜1996年 既存の8つの地域経済共同体(RECs)の強化             

第二段階:

1997年〜2004年 既存の8つの地域経済共同体(RECs)の関税・貿易制限の撤廃、各分野の政策統合の強化

第三段階:

2005年〜2016年 既存の8つの地域経済共同体(RECs)の自由貿易と関税同盟の実現とアフリカ大陸での関税同盟の創設

第四段階:

2017年〜2020年 アフリカ大陸共同市場の創設

第五段階:

2021年〜2025年 アフリカ大陸統一通貨とアフリカ経済共同体(AEC)の創設、超国家機関アフリカ合衆国の設置

アブジャ条約によれば、アフリカ諸国の経済統合は第三段階にきています。

最後のフロンティア・アフリカ大陸54か国・地域による世界最大の経済共同体の実現を支援していくことが日本経済の未来にとっても大変に重要なことだと考えます。

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1977年生まれ 宮城県出身 東京在住 調理師 ビジネスを通じて途上国・先進国の課題を解決することを目的に設立された 『MONSOON JAPAN』の一員として活動しています。