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アフリカ南東部にある世界遺産 「マラウイ湖国立公園」

アフリカ大陸南東部、いわゆる大地溝帯に沿って連なる内陸国の中でマラウイという国は、その地理的な特色から他に類を見ない独特の文化を保持しています。

それは、国土の大部分を淡水湖でなおかつ国の名前の由来となったマラウイ湖が占めているためです。

内陸部でありながら湖上における輸送手段が発達し、湖からの恵みが経済の基盤となっている上、農業や漁業、さらには運輸などの産業も含めて国民の生活の多くが湖と関わっているなど、マラウイは世界的に見ても珍しい湖を中心とした文化圏が形成された国であると言えます。

イメージするとしたら、日本で言うところの滋賀県における琵琶湖の産業をさらに大きくしたような国といえばいいでしょうか。

世界自然遺産「マラウィ湖国立公園」

マラウィ湖は、アフリカ大陸の南東部に位置し長さ約560km・水深約796m・海抜約500m・面積2万9,500k㎡で、マラウィ・タンザニア・モザンビークに囲まれている淡水湖です。淡水湖としては、世界で4番目の深さ・世界で9番目の大きさで、マラウィの国土の4分の1を占めています。

約200万年前に大地構帯によって出来た大地に水が溜まった事で誕生した古代湖。

マラウィ湖国立公園は、そのマラウィ湖を対象とした国立公園で、湖のガラパゴスと呼ばれるほど豊富な固有種が多く、特にシクリッド科に属している熱帯魚は約800種以上は生息していると言われています。

1984年に世界自然遺産に登録されましたが、登録されているのはマラウィ湖のマラウィ側南端約0.3%を占めるごく一部だけです。しかし淡水湖として世界自然遺産に登録されたのは、マラウィ湖国立公園が初めてです。

マラウィ湖国立公園からみるマラウィ

しかし、そのことがマラウイ経済の足を引っ張っていることは否定できない事実です。

それは、マラウイの主な輸出品目が農産物及び魚介類であることからも分るとおり、アフリカでも屈指の淡水資源を有する国だからこそ、安易な工業化が望めない、水資源を汚染するような二次産業を育てられないことも意味しています。

実際、1984年、独自の生態系を持つマラウイ湖が世界遺産に登録されると同時に、環境の保護が叫ばれるようになったマラウイでは、2000年代に水質の悪化とそれに伴う生態系の激変が問題化しました。その後、周辺諸国を巻き込む形で水質の改善が急ピッチで進められています。

つまり、経済的に厳しい内陸国であり、豊富な鉱物資源を有していることで知られている大地溝帯の真上に位置するにも関わらず、マラウイにはそれらの利点を生かした産業が育っていないのは、それだけ湖の環境の変化が国民の生活に直撃するためなのです。

一応は、世界第二位のウラン鉱山であるカエレケラを有していますが、ザンビアやボツワナといった国の根幹を支えるような鉱物資源にはなっていないのが実情です。2014年5月の時点で、資源価格の低迷のより採算がとれなくなり、一時停止中だが探査は継続しています。

マラウィ共和国の基礎データ(2013年)

  • 面積       11万8,484平方キロメートル
  • 人口       1,636万人
  • 首都       リロングウェ
  • GNI       3,597(百万米ドル)
  • GDP成長率    5.0%
  • 1人当たりGNI    270(米ドル)

伝統的な農業国マラウィ

さらに、産品を輸出する際にも湖の存在がネックになっており、舟を操る文化を持つにも関わらず、海路を有する国家とは違って世界を相手にすることが難しいため、どうしても市場は限定されやすく買い叩かれやすい上、重要品目も少なく、さらに鉄道を含めたインフラの発展も未成熟なままです。

輸送手段一つをとっても、マラウイ経済は一筋縄ではいかないのです。けれども、大変な苦境ではあるのですが、だからこそ、マラウイにはビジネスチャンスにあふれていることも確かなのです。

なぜなら、マラウイ湖はマラウイだけのものではなく、隣国であるタンザニアやモザンビークの国境が湖面上に存在する国境問題が複合的に絡み合った場所であるからこそ、なのです。

特に、そういった他国の事情を考慮しないことで、中国が2000年代以降アフリカ各国に集中的に投資をした際に、当然の帰結として、マラウイとその周辺国でも湖の環境が急速に悪化してしまいました。その結果マラウィ湖の水質汚染が進み住血吸虫(ビルハルジア)の存在がわかり観光客を遠ざけています。

マラウィ政府は、2010年にマラウィ湖の貴重な水資源を農業活用するために灌漑面積の拡大を目指した「グリーンベルト・イニシアチブ」を制定しています。

しかし、各国を巻き込んだ大問題になったなどという話からも分るとおり、中国の投資は各国の政治的な混乱を招くことから忌避の対象となっており、2015年以降は投資自体、大幅に縮小させていくこととなります。

マラウィの経済概況

マラウィの首都は、マラウィ中部にあるリロングウェ市(人口約107万人)で政治の中心地です。そして、経済の中心地は南部にあるブランタイア県(人口約80万人)で、様々な企業の本社や工場があるのも商業都市のブランタイアです。

マラウィは昔からの農業国で、労働人口の約8割の人々は農業又は農業関連に従事していますが、そのほとんどが一次産品の生産を行っています。

主な輸出産品は、タバコ・紅茶・砂糖・綿花・コーヒーなどの農作物なので、国際市況の影響が大きく外貨収支が安定しません。そのため、産業構造などの改革による新たな外貨収入の獲得が課題になっています。

マラウィ北部にはカエレケラ・ウラン鉱山(推定埋蔵量11,000トン)があり、年間1,500トンの規模でウラン鉱採掘を開始しています。しかし、ここ数年の酸化ウランの価格の低迷により採算が合わないので、2014年5月には、ウラン鉱採掘を一時停止していますが探査は継続しています。

また、マラウィ国内の幹線道路や主要電力などのインフラ整備が不十分であり、マラウィの経済成長を妨げる要因になっています。さらに、マラウィ湖を中心にタンザニア・モザンビーク・ザンビアと3つの国に囲まれている内陸国なので、陸路で物資を運ぶには、この3つの国を通らなければなりません。

そうすることで輸送コストがさらに掛かりマラウィの経済成長を妨げる要因にもなっています。

日本の技術や知識でマラウィにできること

そんな話を背景に、2016年8月に日本から安倍総理がアフリカ各国への3兆円もの巨額の投資を表明したことが、マラウイを屈指の投資先へと変貌させることとなるのです。

なぜかというと、マラウイこそが日本のイメージアップにつながる重要な投資先足りえるからです。

それは、前述のマラウイ湖の水質改善や鉄道などのインフラ整備もさることながら、マラウイの衛生問題についても大きく、特に人命に影響する多くの寄生虫への対応は各国が注視せざるをえない案件でもあります。

つまり、日本の得意な分野での投資が可能であるということでもあります。

他にも、マラリアなどの業病や、さらに、アフリカ各国を苦しめるエイズの問題もまだ根深く、マラウイ政府が国をあげて取り組むべき議題は、中国が推し進めた貿易による富の蓄積ではなく、まず、国民の衛生環境の向上が第一になるのです。

と同時に、そのための教育の充実、さらにはインターネットを介した情報発信設備の設置などが重要な国是となっており、そういった点でも、日本としても積極的に投資しやすい案件が出揃っています。

マラウイ経済の先行きについては相当に厳しいことは確かなのですが、だからこそ、日本で培われた環境にいい産業を根付かせる素地があるともいえるのです。

これからのマラウィ共和国

通信関連産業や情報関連産業などがインターネットを介して爆発的に発展しており、良いイメージも悪いイメージもあっという間に広がるのが、マラウイを含めたアフリカ経済の一つの大きな特徴です。

そのため、マラウイだからこそできる投資が、そのまま周辺諸国へのイメージの流布につながると同時に、大きな商機をもたらすきっかけになります。

マラウイという国は確かに資源に乏しく経済的に厳しいことは間違いありませんが、実は、最初の一歩としては問題が山積みだからこそ大変に優秀な国でもあるのです。

さらにマラウィについて知りたい方はこちら

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1977年生まれ 宮城県出身 東京在住 調理師 ビジネスを通じて途上国・先進国の課題を解決することを目的に設立された 『MONSOON JAPAN』の一員として活動しています。