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食べ物を大量に捨てているのになぜ、貧困や飢餓が終わらないのでしょうか?

世界人口は年々増えてはいるものの穀物生産量は増加傾向にあり、2014年は年間約25億トンと過去最高を記録しています。

世界の穀物消費の1人当たりの年間標準量が約180kgである事を考えると、公平に分配されていれば1人当たり年間約320kg以上、つまり、世界の全ての人々が食べられるだけの食料は十分にあります。

なぜ、貧困や飢餓が終わらないのでしょうか?

世界で生産される食料の不均衡を是正すれば、貧困や飢餓に苦しむ人々がいなくなるんです。にもかかわらず、世界では約7億9500万人(9人に1人)の人々が慢性的な栄養不足に苦しんでおり、9000万人を超える5歳未満児が、健康に成長するために必要な栄養素が足りていないために、病気などになりやすく、低体重児となっています。

そしてアフリカでは、今でも4人に1人がお腹を空かせたまま寝ていると言われています。日本では、本来ならまだ食べられるはずの食品が無駄に捨てられています。

また、アフリカでも農業生産の知識や技術の不足により収穫時に大量の食料を捨ててしまっています。

先進国の人々が無駄に廃棄する食料を削減する事で、アフリカの貧困や飢餓に苦しむ子供達や地球環境を救う事ができるはずです。

なぜ、世界中の子どもたちが貧困や飢餓によって亡くなっているのでしょうか?

なぜ、世界中の子どもたちが貧困や飢餓によって亡くなっているのでしょうか?

国連食糧農業機関(FAO)が2011年に実施した調査研究報告書〈Global Food Losses and Food Waste〉によると、世界中の人々が食べるために生産した食料の3分の1に相当する約13億トン〈先進国6億7000万トン・途上国6億3000万トン〉が食べられること無く捨てられているというもので、世界中で貧困や飢餓に苦しむ人々の倍以上の人々に食料を提供できる量です。

食料を捨てるということは、そのために使われた水や肥料、農薬、種子、燃料なども無駄に捨てていることになり、その経済的損失は世界中で毎年約7500億ドル〈約75兆円〉とも発表されています。

にもかかわらず、十分な食べ物やきれいな飲み水がないために、風邪や下痢、はしかのような一般的な病気でも簡単に命を落としてしまう事があります。

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世界では毎日約2万5000人の人々が、飢餓または飢餓に関係した死因で亡くなっており、いまなお、年間約660万人、毎日約18,000人、5秒に1人の割合で子どもたちが貧困や飢餓で亡くなっています。

日本では、本来ならまだ食べられるはずの食品が無駄に捨てられています。また、アフリカでも農業生産の知識や技術の不足により収穫時に大量の食料を捨ててしまっています。

世界の食料危機問題

世界の食料危機問題

現在、世界的な人口増加や途上国の経済発展、地球環境の変化による食糧生産の不安定化、食糧市場への投機資金の流入による食糧価格の高騰などで、食糧の安定供給の確保が難しい時代になっています。

それらに対応するために農地を拡大することは、土地や水に限りがあり非常に困難になりつつあります。

しかし食糧を生産するためには、土地や水が大量に必要です。

食糧を捨てるということは、その為に使われた資源も捨てるという事になり、毎年約250㎦の水と約14億ヘクタールの土地が無駄になっていると言われています。

その経済的損失は毎年約7500億ドル(約75兆円)とも発表されていることを考えると、世界の食料問題は、解決したい社会課題のひとつだと思います。

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2050年には倍になると予測されている世界の食糧需要に対応するためにも、途上国における農業生産性の向上が必要不可欠になります。

農業の生産性向上と拡大、食料自給率の向上に貢献していくことが、世界の貧困や飢餓、将来の食料危機問題などの、懸念されている問題解決になるひとつの手段と考えています。

世界の食料需給に影響を与える主な4つ要因

世界の食料需給に影響を与える主な4つ要因

✅食料需要の増加

新興国や途上国の急激な経済発展や爆発的な人口増加により2050年〜2100年には世界の人口は90億人を越えると言われています。国民の所得水準の向上に伴い食生活が変化し、食料需要の増加が見込まれています。

✅食料価格の高騰

世界的な人口増加やバイオ燃料の需要増加などに伴う、穀物利用の拡大によって食料を商品市場で売り買いして利ざやを稼ぐ投機マネーが市場に流入したことが、食料価格高騰の一因とも言われています。

✅地球の温暖化

温暖化などの地球規模の気候変動によって、世界各地で異常気象が頻発し、干ばつや砂漠化、水不足などが深刻化しています。穀物などの栽培適地の変化が世界の農業生産に影響を及ぼすことが懸念されています。

✅バイオ燃料

温暖化対策として二酸化炭素抑制に効果のある、とうもろこしや大豆などから工業的に製造されるバイオエタノール、バイオディーゼルといったバイオ燃料に世界的な関心が集まっています。そのため、原料となる穀物の需要が増加し、 食料用需要との奪い合いが懸念されています。

日本中の人々は、まだ食べられる食べ物を大量に捨てています。

日本中の人々は、まだ食べられる食べ物を大量に捨てています。

日本の食品ロスの現状

日本の食料自給率は約40%しかなく、私たちの豊かな食事の約6割は海外からの輸入に頼っており、世界の主要先進国の中でも最低水準です。海外から食料を大量に輸入するということは、輸送するために排出されるCO2の増加による地球温暖化への影響という大きな問題も懸念されるということになります。

その一方で、日本では年間約1,700万トンの食品廃棄物が排出されており(家庭系廃棄物1,014万トン、事業系廃棄物715万トン、平成23年度推計)、このうち本来まだ食べられるのに廃棄されているもの、いわゆる「食品ロス」は約500~800万トンにも上ります(家庭系廃棄物で200〜400万トン:食べ残し・過剰除去・直接廃棄など、事業系廃棄物で300〜400万トン:規格外品・返品・売れ残り・食べ残しなど)。

これは日本人一人当たり毎日おにぎり1~2個分を捨てているのと同じになります。

また廃棄処分にかかるコストは約2兆円と言われており、このコストは商品価格にあらかじめ上乗せされ消費者が負担しているため、食品ロスの削減により商品価格を下げられる可能性があります。

さらに日本の一年間当たりの食品ロスだけで、世界中で貧困や飢餓に苦しむ人々のための食料援助量(約400万トン)の約2倍に相当し、お金に換算すると約11兆円分になると言われています。

そのことからも食品ロスの改善は世界の食料不均衡の是正にもつながります。

日本の食品ロスの主な原因

主な食品ロスの原因について、スーパーや小売店等の事業者側に起因するものとして、余剰生産・過剰在庫・慣行的な返品などの商習慣などがあります。

また欠品による販売機会の損失を恐れるがゆえに必要以上に仕入れ、売れ残った分は品質が保証出来ない、値崩れを防ぐといった理由で大量に食べ物が捨てられています。

消費者側に起因するものとして、鮮度・品質に対する過度な意識や過剰な消費行動と食材の余剰除去、食べ残しなどありますが、大きな原因となっているのが賞味期限です。

製造年月日が新しいものや賞味期限が長いものに商品価値があると意識し、選んで購入しているため、賞味期限までの日にちの短い食品は購入されずに店頭に残り捨てられるという悪循環になっています。

「常に鮮度が良いものを豊富な品揃えで」という日本の消費者の無意識の感覚からくる過剰な消費行動が、日本の食料を無駄にしているだけではなく、世界の人々の食料問題にどのような影響を与えているのか改めて意識するべきだと思います。

アフリカの人々は、まだ食べられる食べ物を大量に捨ててしまっています。

アフリカの人々は、まだ食べられる食べ物を大量に捨ててしまっています。

アフリカの食糧廃棄の現状

最近の資源需要の高まりによりアフリカが注目されていますが、資源輸出の外国企業による支配は、植民地時代に端を発し、独立後も続いていました。

アフリカの一次産品貿易にかかわる採掘、加工、販売の重要な部分を先進国などの外国企業が握っているため、複雑な加工技術を獲得しないまま原料輸出を続けると、世界の資源価格に左右されるためアフリカの経済は不安定になり、なかなか製造業が発達しません。

そのため、一次産業の農業依存が高く、アフリカ全体の63.4%もの人々が小規模農業を営んでいます。

さらに、アフリカ大陸の3分の2は乾燥・半乾燥地帯であり、ほとんどが天水などの自然環境に頼った昔ながらの栽培方法のため、地球環境や気候変動による影響を大きく受けやすく、生産・収穫・貯蔵・加工などの知識や技術も不足しているので、収穫後の段階で多く食べ物を捨ててしまっています。

アフリカの食糧廃棄の主な原因

主な原因としては、農作物の不適切な時期の収穫のほか、適切な貯蔵施設の不備等を主因とする、過剰な雨ざらしや乾燥、極端な高温および低温、微生物による汚染や、生産物の価値を減少させる物理的な損傷などによって、収穫された食料を当初の目的(食用等)を果たせないまま捨てられてしまいます。

そして、アフリカの人々の3分の2は農村地域に住み、さらに3分の2の人々は貧困層とされており、食料事情が厳しくなる乾期や干ばつに向けて食料を蓄える事ができず、飢餓に苦しむ人々が増えているのが現状です。

日本と世界の食品ロスに対する取り組み

日本と世界の食品ロスに対する取り組み

日本

日本でも、食品ロスを削減する取り組みは国や企業、自治体で始まっており、食品リサイクル法の制定、1/3ルール(小売りへの納品期限を賞味期間の1/3以内とするルール)の見直し、余剰生産・過剰在庫、メーカーや卸業者への返品(=廃棄)の削減、賞味期限の延長により多少は減少傾向にあります。

しかし、製造・流通・小売段階での完璧なロス削減は難しく、消費者の購入段階という末端でのきめ細かい対応やフィードバックにより削減効果を発揮できると考えています。

イギリス

イギリスでは、食べ物が捨てられている実態を消費者自ら把握するためのツールやレシピ、計画的な買い物や調理、定期的な食材管理など、様々なサービスを提供しています。

その結果、無駄に捨てられる食べ物の削減に成功していることからも、日本の消費者にもっと食料問題に目を向けさせて、消費者の食生活に切り込んだ取り組みが必要だと考えています。

フランス

フランスでは、大型スーパーなどでの食料廃棄を禁止する法律が世界で初めて成立しています。

この食料廃棄禁止法は、延べ床面積400平方メートル以上の大型スーパーを対象にしており、売れ残りの食料廃棄を禁止して、生活困窮者に分配する支援機関や団体への寄付、家畜の餌や堆肥としての転用を義務付けるというものです。

違反するたびに、最高7万5000ユーロ(約975万円)の罰金が科されるそうです。

もったいないの気持ちと行動

もったいないの気持ちと行動

日本では、フランスのような売れ残り食品の廃棄禁止の法律がなくとも、日本人が昔から持つ「もったいない」の気持ちと行動があれば、食料問題を乗り越えることが出来ると思います。

アフリカの貧困や飢餓を克服する為には、労働力の大部分が従事している小規模農業を基盤とした、農業の生産・収穫・貯蔵・加工の知識や技術を向上させ経済を立て直す必要があると考えています。

人が生きていく上で大切な「食べる」ということ。豊かで平和な社会を未来に引き継ぐためにも国境を越えて食料の生産と消費について考えていく事が、国際社会の平和や私たちの生活にとってとても大切なことだと思います。

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1977年生まれ 宮城県出身 東京在住 調理師 ビジネスを通じて途上国・先進国の課題を解決することを目的に設立された 『MONSOON JAPAN』の一員として活動しています。